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イギリスがEUを離脱した場合、イギリスよりEUが苦しい立場に立たされる

EU離脱の可能性が高まる

イギリスのEU離脱の是非を問う国民投票まで1週間となりました。

ここ数日の間に発表されている世論調査の結果のほとんどが、残留派がリードするものとなっており、イギリスのEU離脱が現実のものとなる可能性が高まっています。

(最近の世論調査の結果)

Ipsos MORI(6/16)          残留:47%               離脱:53%

YouGov(6/12・13)        残留:39%(-3)、離脱:46%(+3)

ORB(6/13) 投票に行くことが確実な人 残留:48%( ± 0)、離脱:49%(+2)

            (参考:全ての回答者    残留:49%(-3)、離脱:44%(+4))

ICM(6/11・12)※          残留:47%    、離脱:53%

イギリスはEUを離脱しても長期的に低迷することはない

EUを離脱した場合に、イギリスは短期的には経済的苦境に陥ることは間違いないとみられているものの、長期的には、EU離脱による変化にイギリスは十分に対応できるのではないかと考えられています。

具体的に見て行きましょう。

イギリスがEUを離脱した場合に、最も懸念されるのは、EUのシングルマーケットから閉め出される影響です。

では、イギリスとEUの間の貿易額を見てみましょう。

イギリスからEUへの輸出額は1480億ポンド、逆に輸入額は2240億ポンド(いずれも2014年)であり、イギリスは760億ポンド(12兆円)も買い越している計算になります。

つまり、EUにとってイギリスは良いお客さん、お得意さんなわけです。

このような状況でEUがイギリスをシングルマーケットから閉め出せば、自らの首を絞めるようなもので、EUにとって得策とは考えられません。

イギリスがEUを離脱した場合、イギリスはEUと新たに貿易協定を結ぶ必要がありますが、こうした事情からこの交渉はそこまで難しいものにはならず、長期化することもないと予想されます。

結果として、イギリスはEUとの貿易協定で、それほど不利な条件ではなく、むしろ、現状とさして変わらぬ程度の条件で協定を結ぶことが可能だろうと考えられるのです。

加えて、イギリスがEUを離脱した場合に、イギリスに進出していた海外の企業等が撤退するなどとの懸念も伝えられていますが、これらにあっても税制の優遇策等を効果的に打ち出すことで回避できると考えられます。

つまり、イギリスは、EUを離脱することになっても、短期的には多少の混乱もあって経済的苦境に陥ることになっても、その影響が長期的に及ぶ可能性は小さいだろうと言えるのです。

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(www.parliament.ukより引用)

最も苦しい立場に陥るのはEU

イギリスがEUを離脱することで、最も苦しい立場に陥るのはおそらくEUでしょう。

既に述べたところでは、EUとイギリスの貿易額は、EUにとって大幅な黒字となっていますので、イギリスがEUを離脱することになり、新たな貿易協定の締結に手間取った場合、EUは域内の生産者側からの突き上げに合うでしょう。

加えて、EU全体としては、イギリスという豊かな国が抜けることで財政的にも苦しくなるとともに、国際的な発言力という面でも低下は免れないでしょう。

また、EUの中でフランス、ドイツといった豊かな国の負担がより増すことになります。

EUにはギリシアをはじめ財政的に苦しい状況にある国が少なからずあるところ、こうした国への財政支援における負担割合が大きくなります。

また、中東欧からの移民も、これまでイギリスを目指していた人々までフランスやドイツが受け入れざるを得なくなることが予想されます。

加えて、シリア難民等への対処にもこれまで以上に身を切りながら、コミットしなくてはならないことになります。

今月初めにフランスのマクロン経済相が、

・ 英国が6月の国民投票の結果、EUから離脱するならば、フランスから英国への移民流入を食い止めていた国境管理をやめ、英国に移民を流入させる

・ (フランスが2012年に税率を引き上げた際、英国が仏企業の誘致に動いたことを受け、)ロンドンの金融街シティーからの帰還者を受け入れることになるだろう

などと半ば脅しをかけるような発言をしていますが、これらはフランスの焦りを率直に示したものだと考えられます。 

※ マクロン経済相の発言は、英国がEU離脱なら、仏から移民流入させる─仏経済相=FT | ロイター”を参考にしました。

また、最近もマクロン経済相は、

・ EUを離脱したら、世界でイギリスはガンジーと同程度の存在になるだろう

と、ガンジーというイギリスの属領の小さな島々をわざわざ例示しながら、EU離脱をけん制しています。

他方、EUで比較的豊かではないと分類される国々にとっては、イギリスが抜けたことで、EUの予算が減少し、これまでEUから受けていた補助金等が少なくなると考えられます。

また、これまでイギリスがいたことで保たれていたEUにおける大国間のパワーバランスが崩れ、フランス、ドイツの影響力が増すことでEUにおける意思決定にもひずみが生まれる可能性もあります。

イギリスがEUを離脱することで、EUに所属する各国はそれぞれの立場でマイナス影響を大きく受けることとなります。

イギリスとEU

イギリスはGDP世界第5位の経済大国であり、かつては、日の沈まぬ帝国を作り上げた大英帝国です。

EUを離脱しても、その影響をうまくコントロールする知恵も体力もあるでしょう。

他方、EUは欧州連合という名が示すとおり、それぞれが様々な事情を抱える国家の連合に過ぎず、イギリスのEU離脱という引き金で長期的には瓦解につながる可能性さえあるでしょう。

実際にフランスやオランダでは、EU離脱の議論が出始めているとの報道もあります。

国民投票まで残り1週間、今後の展開に目が離せません。

 

それでは、また日曜に! 

 

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