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EU残留派の女性議員の殺害事件が発生、国民投票への影響は?

http://static.independent.co.uk/s3fs-public/styles/article_large/public/thumbnails/image/2016/06/17/10/jo-cox-tributes-7.jpg

(www.independent.co.ukより引用)

痛ましい事件の発生

6月16日、イギリス・リーズ近郊で労働党のジョー・コックス下院議員が殺害されました。

同議員は、当日、イギリスのEU離脱の是非をめぐる集会の準備に参加しており、そこで2人の男性がもみ合いとなったのを仲裁したところ、男性のうち一人がかばんから拳銃を取り出し、同議員を銃撃するなどし殺害したと報じられています。

また、目撃者の情報によれば、同議員を殺害した男は、殺害時に「Britain first」か「put Britain first」と叫んでいたと言われています。

同議員の殺害の動機は未だ明らかになっておりませんが、同議員はEU残留を支持しており、残留派のキャンペーンにも参加していたことや、被疑者の殺害時の言動等から判断して、一般的には、EU離脱を支持する被疑者が、EU残留を主張する女性議員に反感をもち、殺害に至ったと受け止められています

また、被疑者が殺害時に叫んだ「Britain first」は、極右団体の名称と一致することから、被疑者と同団体の関係性が疑われています。

同団体の関係者は、被疑者との関係を否定する声明を出していますが、もし被疑者が「put Britain first」と叫んだのであれば、「Britain first」はEU離脱派のスローガンで良く用いられているフレーズなので、単純に同団体との関係を疑うのは難しいかもしれません。いずれにせよ、捜査の結果が待たれます。

政治家が 暴力によって排除されることは、いかなる理由があっても、起きてはならないことです。また、同議員は幼いお子さんの母親であり、被疑者の犯した過ちの大きさに強い憤りを感じます。

国民投票への影響

この事件を受けて、EU残留派、離脱派の双方がキャンペーンの実施を中止しており、17日も両派の自粛措置は継続されています。自粛措置は双方にとって、痛ましい事件を政治的に利用しているとの批判を避ける意図もあると考えられます。

それでは、同事件は、6月23日の国民投票にどのような影響をもたらすのでしょうか。

普通に考えて、同事件の発生は離脱派の活動にプラスの影響を及ぼすことは考えられないでしょう。

他方で、イギリス人が同事件の発生によって、自身の考え方を変更することはないのではないかと思います。

例えば、もともと離脱派を支持していた人が、こんなろくでもない事件を起こすような奴が離脱派の支持者にいるのなら、離脱派の支持をやめるという人はいないだろうと思うのです。

しかし、もともと残留派を支持しているけど、投票に行くのはおっくうだなと思っていた人が、同議員の悲劇に共鳴して、「やっぱり投票に行こう」と考える人は一定程度いるのではないかと思います。

一般に、イギリスの若年層はEU残留への支持率が高いと言われていますが、この世代は投票率が低いことが知られています。

残留派にとって、支持率が高いものの、投票率の低い若年層を選挙に向かわせることは大きな課題でしたが、この事件がその解決にプラスに影響することはあり得るのではないかと思います。

世論調査会社の一つORBの調査結果で興味深いものがあります。

ORB(6/13) 投票に行くことが確実な人  残留:48%( ± 0)、離脱:49%(+2)

             全ての回答者        残留:49%(-3)、離脱:44%(+4)

この結果が意味するものは、投票に行くことが確実な人の中では離脱派が優勢だけど、イギリス国民全体では残留派が優勢であるということです。

もし、この事件が、残留支持でありながら投票に積極的でなかった人の気持ちを、投票に向かわせることになったら、、、

国民投票まで残り1週間を切りました。

今後の動向に目が離せません。

 

それでは、また日曜に!

 

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