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EU離脱の影響はサッカーにも~イギリス・プレミアリーグはどうなる

EU離脱はイギリスのサッカーにも大きな影響

イギリスのEU離脱の是非を問う国民投票の実施まで1週間を切る中、フランスで開催されているEUROは連日盛り上がりを見せています。

イギリスからもイングランド代表、ウェールズ代表、そして、北アイルランド代表がEUROに出場していますが、それぞれの代表が活躍を見せており、今のところ、フットボール※発祥の地としての面目躍如といったところでしょうか。

※ イギリスではサッカーをフットボールと呼びます。イギリス人に向かって、サッカーなどというと露骨にため息つかれますので気を付けてください。

さて、イギリスがEUを離脱した場合、政治経済に大きな影響があるのは既に各所で議論されていますが、実はイギリスのサッカーにも大きな影響が及ぶと言われています。

プレミアリーグとは

イギリスのサッカーリーグとしては、欧州4大リーグの一つに数えられるプレミアリーグが世界的に有名です。

また、プレミアリーグはテレビ放映権料が高いことで有名で、2016-17シーズンから3シーズンの放映権料が総額80億ポンド(1兆2800億円)で契約された※と報じられています。

※ 日本のJリーグは100億円で契約されると報じられています。ちなみにこれでも昨年の50億から倍増しているそうです。

各クラブへの分配金も大きく、上位を紹介しますと、

 1 アーセナル           1億100万ポンド(約163億円)

 2 マンチェスター・シティ      9700万ポンド(約156億円)

 3 マンチェスター・ユナイテッド   9650万ポンド(約155億円)

 4 トットナム            9530万ポンド(約153億円)

 5 レスター             9330万ポンド(約150億円)

となり※、来季チャンピオンシップに降格するノリッジは、最も少なかったとはいえ、6630万ポンド(107億円)という大金を手にすることができます(偏愛的プレミアリーグ見聞録 TOPのアーセナルは1億ポンドを突破!天井知らずのプレミアリーグのテレビ放映権料を参照しました。)。

※ 試合の生放送の回数なども加味されるため、必ずしも順位と同じになりません。

このため、プレミアリーグのクラブは、海外のクラブに多額の移籍金を支払って選手を引き抜くことが可能となります。

もちろん給与として支払える金額も大きいため、多くのサッカー選手がプレミアリーグでのプレーを希望します。

こうした事情もあり、現在のプレミアリーグは数多くの外国籍の選手が在籍しています。

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(BBC SPORTより引用。セルティックはスコットランドプレミアリーグです。)

代表経験のないEU国籍選手は獲得困難に

これまでEU加盟国の国籍を有する選手は、EU域内の移動の自由が保障されていたため、イギリス国籍の選手と同様に労働ビザなどを取る必要もなく、プレミアリーグでプレイすることができました。

しかし、イギリスがEUを離脱した場合、原則として、EU加盟国の国籍の選手であっても、労働ビザの取得が必要となると言われています。

現在、EU国籍以外の外国籍のサッカー選手がイギリスで労働ビザを取得するための条件は、FIFAランキングに基づき以下のように定められています。

 ・ FIFAランク  トップ10の国  

   過去2年以内に当該国のサッカー代表の試合に30%出場している

 ・ 11位から20位の国  

   過去2年以内に当該国の代表選手の試合に45%出場している

 ・   20位から30位の国  

   過去2年以内に当該国の代表選手の試合に60%出場している

 ・ 31位から50位の国

   過去2年以内に当該国の代表選手の試合に75%出場している

ただ、あくまで、この条件も基準であり、例外的に「類(たぐい)まれなる若手選手」などとして認められれば労働ビザが発給されるようです※。

※ 過去にアーセナルに移籍した宮市選手や、セルティック(スコットランドのリーグ)に移籍した水野選手などがその例ですが、日本サッカー協会や移籍先のチームなどが陰で相当動いたと言われています。

イギリスがEUを離脱した場合、イギリスのサッカー協会や入国管理局がこの基準を変更しなければ、EU国籍の選手にも適用されることになるはずです。

この場合、スター選手には大きな影響はないと考えられますが、そうでないEU国籍選手には大きな影響があります。

まず、EU離脱によって、プレミアリーグ各チームが獲得が困難になる選手は、「EU国籍の選手で、代表経験がない、又は代表経験が少ない選手」と考えられます※。

※ EU国籍以外の選手はもともと上記基準が適用されているので無視します。

例えば、まさに今EUROで大活躍を見せているパイエ(ウェストハム)や、プレミアリーグ優勝の立役者となったカンテ(レスター)などは、プレミアリーグでの活躍が認められてフランス代表に選出されるようになったので、この基準の下では獲得は困難だったかもしれません。

つまり、今後、プレミアリーグのチームは、EU国籍選手を含めて外国籍の選手で、優れた選手、又は将来有望な選手を見つけても、その選手が既に一定の代表経験を有していない場合は獲得が困難となるかもしれないということです。

また、当然ながら、イギリスがEUを離脱すると、現在、既にプレミアリーグに所属している選手であっても、EU国籍の選手は新たに労働ビザを取得する必要があるでしょう。

イギリスが今後のサッカーの発展をどう考えるか

イギリスがEUを離脱することを決めても、2年間の猶予期間がありますので、おそらく、その間にイギリスのサッカー協会が、前述の基準をそのままEU国籍選手に適用するのかなどを判断することになるでしょう。

一般的な有識者の間では基準が緩和されるのではないかと考えられていますし、現在のプレミアリーグにたくさんのEU国籍選手がいることなどを考えれば、それが妥当でしょう。

一方、これをイギリスのサッカーを強化するための良い機会と捉える人もいます。

現在のプレミアリーグでは、イギリス国籍のサッカー選手が育ちにくいと言われています。

これは当然です。前述のとおり、各チームは資金力が豊富であるため、有力な選手を他チームから引っ張ることができます。

もちろん、プレミアリーグにはイギリス国籍の選手の出場枠が設定されているため、イギリス国籍選手の育成の場は一定程度確保されていると考えられます。

しかし、豊富な資金力で引っ張ってきた有力選手が若手選手とポジションが重なる場合、その選手が有力な選手であればあるほど、若手選手は試合に出場する機会をつかむの難しくなり、貴重な成長の機会を逃してしまいます。

こういう状況を改善して、つまり、外国籍の選手の流入を制限を強めることで、イギリスの各代表チーム(主にイングランド代表)を強化するべきではないのかという考え方には共感できます。

もちろん、プレミアリーグが各国のスター選手であふれている現状は華やかであり、だからこそ、とんでもない額のテレビ放映権料も手に入るわけですから、現在の状況を維持すべきという考え方もイギリスのサッカーの発展の道としてあり得ると思います。

 

、、、とここまでいろいろ述べてきましたが、あくまで、これらはイギリスがEUを離脱する場合の話です。

まずは6月23日の国民投票の結果を見極める必要があります。

 

それでは、また日曜に!

 

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